2025年11月30日日曜日

ひぐらしのなく頃に 祟殺し編推理・考察

 昔、同人版「ひぐらしのなく頃に」を進行させつつ、或いは読了後に書いた文章のひとつ。
 全体としては未完成です。完成の予定はありませんが、それでもよろしければ。


もうひとりの圭一と何故か居るという叔父

 ■口裏合わせ?
 まず、圭一の犯行は魅音にはバレバレでしょう。迂闊にも前日の電話で犯行をにおわしちゃってるので。
 ならばその結果圭一をかばう為のアリバイ工作として学校のクラスメイト達が口裏を合わせていたのだと考えれば辻褄は合うだろうと思う。
 例えば魅音ならばそれをやろうとする動機は確かに存在する。沙都子の叔父の殺害を決意するよりも以前に魅音に相談した際の圭一の発言。曰く、例えこれまでの祟りが魅音の仕業であったとしても、魅音が自分の親友である事には変わりない。警察に追われるような事があれば匿ってやるし、アリバイ工作だってしてやるとか。
 元々圭一に好意を抱いていた魅音である。しかもそれを聞いた時の魅音のリアクションを見るに、彼女ならばもしも逆の立場、つまり圭一が犯罪を犯した場合、その理由次第では全力を以って彼を守ろうとしたとしても不思議は無いかもしれない。

 ■圭一だけの為?
 魅音達は翌日圭一が登校して来た時にまず真っ先に祭の話を、さも圭一がそこに参加していたかのように語りかける。圭一はそれに違和感を覚え、自分は祭には行っていない筈だと言いかける……が、周囲の勢いのせいか口を挟めない。
 それにこの時彼等は会話の中でいちいち圭一の行動を事細かに解説している。どうも、その場の会話で圭一に喋らせる事なく前日の祭に圭一が居たという事実を作り上げようとしていたようにも見える。

 そう考えるとこの場面での口裏合わせは本当に圭一だけの為だったのかどうかが疑問である。そもそも圭一を警察からかばいたいのであるならば、最初から圭一に「そういうシナリオにしてあるから警察に何か聞かれてもそれにそった回答をしておけ」とでも説明しておけば良かったのではないだろうか。
 ならばこの場面でのクラスメイト達の行動の意図はなんだったのか。考えられるとしたら、「本当は圭一が祭に参加していなかった事」を知られたくない相手があの場にいたという事ではないだろうか。
 となると、その時祭の話に参加していなかった沙都子が気になってくる。

 ■祭当日の沙都子の行動
 祭に誘われて神社までは付いてきたがそこから家に引き返した事と、圭一は沙都子の叔父がひとりで居るタイミングを見計らって電話でおびき寄せている事と、襲撃した場所は北条家から別の場所へ行く際、必然的に通る道である事。
 これらの事から沙都子は帰宅途中、タイミング的に「圭一が叔父を襲っている場面」か、「不自然に放置された叔父のバイクと草むらに寝かせてあった圭一の自転車」、そのいずれかを目撃している可能性が高いという事になる。

 では、その場合沙都子はどのような行動に出るか。
 目撃したのが前者であるのならば、人を呼ぶ為に急いで神社に戻るだろうか。しかしそれだとそこで圭一が居ない事を沙都子自身が確かめる形になるので、翌日魅音達が口裏合わせをする事もなくなるだろう。
 ならば他に考えられるとしたら……目の前の現実を受け入れきれなくて、そのまま逃げるように帰宅するといった所だろうか。これは見たものが後者であったとしてもあり得るかも知れない。

 以下は更に妄想に妄想を重ねた物ですが。

 その場合現実に叔父はいつまで経っても帰ってこない。そこで沙都子は魅音に電話をし、自身が見た事を打ち明け、相談する。そこで魅音は圭一をかばう為に「圭一は祭に来ていた」「だから圭一が沙都子の叔父を襲っていただなんて何かの間違いだ」という嘘をつく。
 それを聞いた沙都子は、先刻自身の目で見た物よりも、その自分にとって都合の良い嘘の方を現実として認識し、存在しない筈の叔父を存在すると思いこんだ……という事ならば辻褄は合いそうな気がする。
 どうもTIPSの恨み帳を読む限り、沙都子は精神に異常をきたしていたかのように思えるので、すんなり都合の良い嘘を信じ込むという事もあり得るのではないか……とも思ったわけですが。
 或いは見た物が襲撃の瞬間ではなくて放置されたバイクであったのならばまだそうなる可能性も、なんて。

 ……正直自信無いです。

 とりあえず私は現時点ではそういう経緯があって、翌日の魅音達は沙都子に嘘をつきとおす為にああいった行動に出たのではないか、と考えています。

 ■急造のシナリオの穴
 実際には圭一も想像している様に、大雨によって祭は途中で中止されたと考えた方が良い。だから圭一が祭に顔を出していたとしても、以前メモの方にも書きましたが魅音達の言うように長い間あちこちで大騒ぎしたり、ましてや終盤に行われる奉納演舞を見る事など出来た筈はない。

 この矛盾に関しても上記の仮説通りであったとしたならば納得がいく。

 魅音が沙都子から相談を受けて咄嗟についた「圭一は祭に出ていた」という嘘。複数のクラスメイト達との口裏合わせによってそのリアリティを増す為には、当日の圭一の行動と周囲の反応を緻密に作り上げなければならない。しかし、複数のクラスメイトと電話なりで打ち合わせをする時間も必要だし、シナリオ作成に割ける時間はあまり無い。
 つまり、短時間で慌てて組みたてたシナリオであったからこそ片手落ちの内容だったという事になるのかもしれない。

 なお、魅音にしてみれば出来る事なら翌日学校へ行く前に圭一に電話をして、あらかじめシナリオを伝えておきたかった所でしょうが、ご存知の通り圭一が帰宅したのは夜遅くなってから。
 そういうわけで昼過ぎになって登校してきた圭一を見て魅音達は動揺。ドアを開けた瞬間一瞬クラスが静まり返っていた理由のひとつもそれだったのではないか、などと考えてみたり。そして慌ててああいった行動に出たのではないだろうか。



雛見沢大災害について

 ■人災か天災か
 大規模な自然災害を人為的に起こすという事は、可能性はゼロではないかもしれないが、普通に考えて無理がある。しかし実は本編がそういった自然災害が発生する一歩手前、あやうい均衡が保たれている状況であったのだとしたら、最後の一押しが人為的な物であったとしてもあのような大災害は発生しうるかもしれない。

 その危うい均衡が保たれている状態であるという伏線があれば良いのだが……悟史の金属バットが沼に沈んだ事などはどうだろうか?
 金属バットは中空構造なので水に浮く筈。……といっても私の家に今金属バットが見当たらないので風呂なりで実験する事は出来ないんですが……少なくとも理屈の上ではそうである筈。にも関わらずバットは沈んだ。
 この場面を読んだ時点で違和感を覚えていたんですが、更に読み進めてあの沼からガスが発生していたという事が発覚した際に、頭の中で昔見たとあるテレビ番組の内容が結びついてピンと来た。
 それは特命リサーチ200Xという番組で、所謂バミューダトライアングルにて事故が多発する原因に関するひとつの仮説を立てられていたんですが、それは海底のある物質が気化して大量の気泡が発生する事によって、その区域だけ浮力が減少していたのではないか、という物でした。
 実際にバミューダトライアングルで発生した事件の原因がそれであったと実証されたかどうかは知りませんが、気泡の発生により浮力が減少するという事自体は番組内で行われていた模型を利用した実験を見た限り、現実に起こり得るだろうと思います。
 つまりあの場面で金属バットが沈んだのは、大災害に至るほどの量ではなかったとはいえ既に地下からガスが発生していた事を示す伏線だったのではないか、などと考えたわけです。

 ただしこの仮説には問題点がひとつ。バットが沈んだ事に関して意図的にそう書いたのかそれともミスだったのかがイマイチわからない事。竜騎士07さんがどんな事を知っていてどんな事は知らないかなんてわかりませんし。
 私もこの現象に関しては前述の番組を見て初めて知りました。知らなかった頃に「水の中に気泡が発生していた場合の浮力」に関して問われたら色々と推測する事によってそれなりの回答はできたかもしれませんが、しかし知識自体は持っていなかったんです。単に私が無知だっただけかもしれませんが、しかしあんまり多くの人が普通に知っている現象だとも思えないんだよなあ……。
 しかし、そんな風に考えていた所、後に発売された私的捜査ファイル(仮)を読んで、竜騎士07さんはかなり博識な方だと今まで以上に思うようになりました。なので個人的に意図的にそうしたのだ、に一票。

 ■自衛隊の発表が虚偽である可能性は?
 少なくとも圭一を助けようと必死になっていた隊員までもがグルだったとは考え難いです。それに、かなりの人数に及ぶ隊員全ての口止めをするなんて、私が黒幕だったらそんな危なっかしい事はやらないです。どこから情報が漏れるかわかったもんじゃない。
 なのでそれはあんまり現実的じゃあないとは個人的に思うんですが……沼を調査した面々のみ黒幕の息がかかっていたのであれば或いは……?

 ■人災であるのならばどうやったのか
 地下で泉同士が繋がっていて云々という仮説を赤坂さんが立てていたが、それに近いもので沼自体に装置が設置されているわけではなく、地下のガスだまりに干渉しうる装置が存在していたらどうだろう。これならば自衛隊の沼探索時には不審物が発見される事はない。
 ではその装置がある場所は何処だろう。園崎家の敷地の地下?
 そもそも園崎に拷問部屋があってそれが雛見沢の暗部であるという事を描写したかっただけならば、別にそれがあのような地下に構築された広大な施設などである必要もない。屋敷のどこかにそういった部屋が隠されていたのだとしても構わない。逃走経路しかり。
 「地下に大規模な施設が存在する」という事がこの件に関するヒントなのでは、とも思ったのだが。

 ■政府がやっちゃった説
 これから書くのは、雛見沢大災害が半分自然災害であった場合と仮定して推理を進めようと決めた為にあまり重視していなかった仮説。加えて思い付いておいてなんですが自分でも与太話にしか思えなかったからだというのもあります。そんなわけで上で書いている推理とは方向性が違います。

 まず、この仮説では雛見沢大災害の正体は自衛隊による雛見沢への毒ガス散布であり、本当は鬼ヶ淵沼からガスなど噴出していなかったという事になります。
 では、何故自衛隊がそのような行動に出たのか。それは富竹さんが防衛庁所属で、雛見沢を調査していた自衛官であったという仮定に基づいています。

 私的捜査ファイル(仮)によると赤坂さんが富竹さんを公安調査庁所属の調査員ではないかと推測しています。実際彼の鬼隠し編での圭一に対する言動からも何者であるかはわかりませんが雛見沢を調べていた可能性は高そうな気がします。また、彼は雛見沢は排他的な村で余所者にとっては危険な場所であると認識しているようにも思えます。
 では雛見沢を調べていたのはともかくとして、実際どこの組織に所属していたのか。赤坂さんの推察がそのまま正解だったのだろうか。
 そこでふと思い出したのが大石さんが富竹さんは体格が良く、もしも喧嘩するなら人数を揃えたいと言っていた事。そこからなんとなく、実は自衛官だったらそれも有り得るんじゃないだろうかと思ったのでした。あとそういえばお祭りでの射的ではキッチリ熊に弾をあててましたっけね。
 そうだと仮定すると、総武線沿線と推測されていた彼の住まいは津田沼の防衛庁宿舎だったりするのかもしれない。
 都内の住民台帳に富竹ジロウなる人物の名は存在しないそうですが、千葉まで調べたらまた結果は違っていたのかも。或いはやっぱり偽名だから結果は同じであったという可能性もあるかもしれませんが。
 ひょっとしたら赤坂さんが前述のような推測をしていたのは、竜騎士さんからの私達に対する「富竹さんが政府の情報機関に所属している事」に関するさりげないヒントだったという事になるのだろうか。

 さて、そんなわけで富竹さんが自衛官だったと仮定しますと、彼は当然調査結果を上に報告していたという事になると思われます。ですがその報告内容にある雛見沢の姿とはどのような物であったのだろうか。
 ご存知の通り彼は鷹野さんと交流がある。本人は彼女のオカルティックな話を信じてなどいないようにも見えたが、聞かされている内に実は結構本気にしていたというのはどうだろうか。何故なら上で述べたように彼は雛見沢は排他的で余所者にとっては危険であると認識している事が伺える部分があるからだ。
 鷹野さんの話はあんまり信じていないように見えて、あれは実は結構信じて恐がっていたのだが表向きは強がっていただけだったとか?
 となると、もしかしたら彼から上層部に報告される雛見沢像は、例えば鬼隠し編の圭一、綿流し/目明し編の詩音、そして大石さんなどがイメージしていたような、影で園崎だの、オヤシロさまを妄信する危険な一派だのが暗躍する、鷹野さんの研究内容の影響を強く受けたモノであった可能性も考えられるかもしれない。
 だが勿論上層部もその報告内容だけでなんらかの動きを見せるには至らなかったんじゃないかと思います。ところがそこへ富竹さんの奇怪な死が伝えられる事となる。それによってそれまでの富竹さんの報告が突然気味が悪いくらいに現実味を帯びてくる。
 そんな中やがて発生する、梨花の宗教的儀式を想起させられる無残な死。これが最後の後押しをする形になったのではないだろうか……と。

 仮に真相がこの通りであったのだとすると、圭一が気絶していた沢にもガスは流れ込んでいた筈なのに無事だったのは、実際は沼からガスが発生したわけではなかったからだと言う事になる。現に圭一が異臭を感じるようになるのは沢から上がってからです。少なくともあの沢にはガスは存在しなかった可能性が高い。

 まあ、以上なんですが。多分祟殺し編を読み終えた段階でこんな仮説を聞いても一笑に付す人がほとんどだったんじゃないかとは思いますが、罪滅し編まで読んでみるとちょっと捨て置けなくなってくるような気がしてしまいまして。
 何故ならここまでくるともうこの「ひぐらしのなく頃に」という作品と「思い違い」という要素とは切っても切れない関係にあると思わずにはいられない人が大半なんじゃないかと思うわけで。
 私も鬼隠し編を圭一の勘違いであったと推理していたわけですがそう推理した直後、それではこの鬼隠し編はひぐらしのなく頃にという作品の中でどのような位置付けであるのかを考えた際に、「思い違い」という要素が何か重要な手がかりである事をヒントとして提示する役割にあるのではないかと推測しました。
 だから当時今回のような仮説も考えたりしたわけではありますが、しかしやはり流石にそれはちょっと現実味が無い気がしたので、「思い違い」は怪現象を作り出す一要素程度でしかないのだろうと判断していました。
 が、綿流し編/目明し編の犯人である詩音が思い違いによって暴走していた事、マンガ版連載開始時に付いて来たポストカードに書かれた詩でも改めて「思い違い」が強調されていた事、ファウストにおけるインタビューでも竜騎士さんがこれまた「思い違い」について触れていた事。そして今回の罪滅し編。
 こうなってくるとどうも今回の仮説みたいなのが意外と真相っぽく思えてきてしまう。そして罪滅し編の内容を改めて思い返すと、色々とその裏付けになりそうな事柄が結構見受けられるような気がする。

 例えば竜宮レナという一少女の妄想が起点となって、最終的に警察や園崎という大きな組織を動かすに至っている。この事が雛見沢大災害の真相は誤解に誤解が重なった末に政府という巨大な組織が動いた結果である事のヒントになっていたのでは……とか。
 不法投棄のトラックは深夜ダム現場にこっそりやってくるらしいという話は、ダム現場はあまり人が寄り付かない事と不法投棄のトラックを目撃したという話はない事と合わせて考えるに、雛見沢は自衛隊が秘密裏に侵入してこのような作戦の準備をする事を可能とする環境である事を示す伏線なのでは……とか。
 私的捜査ファイル(仮)によると自衛隊による雛見沢の家屋の物色がされた疑いがあるようですが、これは政府が鷹野さんの研究ノートにあった寄生虫なりなんなりを探していたからだと解釈できる……とか。その場合学校で起こったらしい発砲事件もなんらかの関係あり?
 隠しTIPS「悪魔の脚本」によると沼がコンクリートで固められていたらしいですが、これは本当はガスの噴出など無かったという証拠を隠蔽する為だった……とか。
 現地に居た自衛隊員の健康調査もまた政府が寄生虫説を信じちゃってた事の裏付けである……とか。
 雛見沢の異様に長かった封鎖期間は、存在しない寄生虫を探していた為に調査期間が長引いた事と、焦って自分達の行動の痕跡を消そうとした事による……とか。
 赤坂さんの「マインドコントロール」の話は数年にわたって鷹野さんの話を聞かされた富竹さんの変化に関するヒントでもあったのではないか……とか。

 なんかこんな感じにパズルのピースがパチパチとはまっていくんですよね。でもそう考えている私の姿が実は罪滅し編で鷹野さんのノートの内容に関して同じくパズルのピース云々と言っていたレナそのまんまなんじゃないかともどこかで思っていたりもするのだが……。

2025年11月28日金曜日

雑記過去ログ(6)


R11キャラ情報雑感:元型(2) 03/10/16

 時間開いちゃいました。ネタがないというわけじゃないです。というかまだ備忘帳に結構びっしり残ってるんですが単純に書く時間が取れませんでした。スミマセン。
 さて、今回は各キャラと、彼等に対応すると思われる元型について改めて、以前よりも突っ込んで考えてみます。

 ■冬川 こころ
 アニマだと思われる。もうひとりの主人公である悟と対で考えるとその方がバランスが良い。
 また、アニマの特徴として男性に情緒性を与えるという物があるが、この点が彼女の「(論理的に証明できないなら)ロマンチックな方を選ぶ」という性格に通じるものがあると思う。
 更に言うとアニマの影響を受けすぎた男性は自己の殻に閉じこもるというが、ここまではいかないとはいえ意外と面倒くさがりだという特徴にも通じるかもしれない。

 ■優希堂 悟
 アニムスだと思われる。もうひとりの主人公であるこころと対で考えるとその方がバランスが良い。
 また、アニムスの特徴として女性に論理性を与えるという物があり、その力によって行動力を発揮する事が可能だという。特にこの辺りが合理的に思考し行動力があるという彼に通じるものがある。

 ■黛 鈴
 外界に向けての自己であるペルソナだと思われる。やたらと外面を気にするという点がなんとなく引っかかる気がするので。そして服や帽子や靴の収集が趣味だという点も。何故ならペルソナは夢の中に登場するにあたって、こういった衣類や装飾品という形態をとる事があるらしいから。
 更に言うと名前。「鈴」は装飾品の一種。「黛」の方は化粧の一種で、用途は仮面(ペルソナ)に通じるものがある。



R11キャラ情報雑感:元型(3) 03/10/16

 ■黄泉木 聖司
 無意識の領域に存在する父親像であり、自己の父親としての側面であるオールドワイズマンだと思われる。その特徴が彼の「豊富な知識・経験を活かしてグループを導く」という点に通じるものがある。それに容貌が父親っぽいし(笑) 
 更に言うと夢の中では山という形態もとるという事から登山家としての彼に、そして神や仙人と言った超越者という形態をとる事もある点が、「"下界"の事はよくわからない」という彼に通じるものがあるかも。ついでに言うと名前に含まれる「黄泉」、「聖」あたりが超越者的イメージを持ってるような……ってこれは曲解しすぎかな?

 ■内海 カーリー
 無意識の領域に存在する母親像であり、自己の母親としての側面であるグレートマザーだと思われる。まんま母性的なキャラだし。そして元型とはいずれも正と負の二面性を持つそうですが、グレートマザーの負の側面は全てを破壊し無に還す「死」の要素で、コチラもキレると凄まじく怖いという彼女の特徴に通じると思う。が、その「死」を匂わせる物を彼女は嫌いだという点が気になるところ。
 更に言うと夢の中では海などのこちらを包み込むような「自然」という形態を取ったりもするという点が、「大自然」が好きだという事、そして彼女の姓である「内海」に通じるものがあると思う。しかも「内海(ないかい)」は海は海でも大半を陸地に囲まれた海であり、「包み込む」というイメージがより強調されているかも?
 「カーリー」に関しては敢えて述べるまでもないでしょう。調べてみれば分かると思いますがグレートマザー、そして彼女の特徴まんまだと思います。

 ■涼蔭 穂鳥
 シャドウだと思われる。シャドウとは今現在の「自己」になる為に結果的に切り捨てられた「自己の別の可能性」みたいな物で、わりとよく無意識の領域から外へ働きかけてくる事があるらしい。もしもそういったモノが一個人としてカタチを成したならば、彼女のように常に人の関心を寄せる事や自分を受け入れてくれる存在を好んだり、見捨てられる事を嫌うという人物になりそうな気がしなくもない。
 更に言うとシャドウは、夢の中では嫌いな他者等のカタチをとる事があるらしい。これまた個人として具現化されたら自身=嫌いな他者となるわけだから、彼女のように絶望・自傷行為を好む人物になりそうな。
 また、シャドウの影響を受けすぎると所謂精神病の症状が現れるらしい。この点が彼女の「境界例の傾向あり」という点に通じるものがある、かな?
 あとついでに名前に「蔭」という字が含まれていたりするのも気になる。

 更に続く。



R11キャラ情報雑感:元型(4) 03/11/11

 ■楠田 ゆに
 セルフだろうか? 彼に関してはなんというか、自信がない。そもそもセルフという元型に関する情報を充分に集める事が出来ませんでしたので。本当はもっと詳しく調べてから書きたかったんですが、流石に更新止まりすぎだったので見切り発車気味ではありますが、いきます。間違っている部分があったらごめんなさい。

 ゆに→単一であるならば彼の場合は他の元型の統合体か、とも考えたんですが、それって果たして元型といえるんだろうか、などと疑問に思ったりもする。そんな時に色々調べていたらセルフと呼ばれる元型が存在すると言う事を知って、これなのかなと。
 この元型はなんでも心の奥底の中心部に存在する人格の統一性のイメージで、実際人格を統制する役割を果たすのだとか。
 つまり、最初に考えていたのは他の元型がひとつに交じり合った物だったわけですが、対してコチラは全ての元型の司令塔みたいなもんでしょうかね。
 これはこれでゆに(単一)という名に通じるものがあると思う。司令塔は唯一無二でなければならない。複数あったらそれこそ多重人格のようになってしまうだろうから。

 ちなみに彼は10/19生まれの天秤座。天秤といえば、セルフという元型に課せられた、人格を統制するという役割に通じるイメージを持っている気がしなくもないかも。
 それと彼の好きな物が友達。嫌いな物が孤独。セルフは他の元型とのバランスを上手く取り合って自己という物を調節しているわけだから、常に他者と触れ合っている立場にあるとも考えられる。そこに通じるとも考えられなくも?

 ※セルフに関しては後に考えを改めています



R11キャラ情報雑感:元型(5) 03/11/26

 今回はその他注目すべきと思ったポイント。まず書き忘れてましたが「うしろのしょーめん、だーれ?」は対になる元型が存在する事にちなんだ言葉っぽいですね。

 そして「対になる」と言えば。まだ私はユングの心理学に関してそう突っ込んだところまで調べたとは言えないので断言は出来ないんですが、アニマが男性の中の女性的側面でアニムスが女性の中の男性的側面であるならば、これらふたつはその定義上あるひとりの人間の中に同時に存在する事はないんじゃないだろうか?
 これまで述べてきた、ゆにが全元型を統べるだの統合するだのいうような事(あくまでイメージとして)をいきなりひっくり返すような事書いてますが。いや、基本的にその考え自体は現時点ではまだ変わってません。ただ、アニマ・アニムスの件を踏まえてさらにもうひとひねりあるかもしれないなあ、などと思ったり。

 それと元型とはちょっと離れますが、A型とB型の親からはAB型の子供が生まれる事もあるよなあなどと、こころ・悟・ゆにのパーソナルデータを見てて思ったんですが。まあ、これは実際ゲームをプレイしてみたら全然見当違いな予想だった、という事になりそうな気が多分にしますが。ありがちだし。



R11雑記:一人称 03/12/2

 というわけでプロモーションムービー・オフィシャルサイトの追加情報・電撃PSに掲載されていた記事から得られた情報を元にまた雑記を更新していきます。

 一人称に関しては以前雑記で触れました通り、infinityシリーズの歴代主人公はカタカナ表記。なのにこれまでは登場人物中でこの条件に該当するキャラが居ませんでした。
 が、今回プロモーションムービーによって悟の一人称が「オレ」である事が発覚。ならばこの物語の"真の"主人公は彼だという事になるのだろうか。そしてこころは厳密には主人公的位置付けとは言えないと言う事になるのだろうか。それとも主人公でありながら従来のinfinityシリーズの主人公らしからぬ一人称である事自体になんらかの意味があるとか?
 とにかく彼女がどういう位置付けであるのかが非常に気になるところ。「こんなの私じゃない」というセリフ、窓ガラスに映った自分の顔をみている場面のCGなども絡めて考えると色々想像が膨らむのですが……果たして?
 無論、悟の一人称がカタカナだったからといって彼が"真の"主人公であると100パーセント信じきって良いとは断言出来ないのかもしれないんですが。ただ、これまでの作品を見るとそうである可能性が高いよなあって事で。

 そして「ワタシ」。結局この一人称が誰の物であるかは明かされなかった。一体何者なんだろう?



R11雑記:元型 03/12/2

 以前雑記で登場人物達の元型を予測してみましたが、結果はゆに以外全員正解。まあ、皆特徴からしてわかりやすいですし。
 じゃあなんでゆにだけ予想がはずれたのかというと、名前に気を取られたからというのが一番大きいですな。ただやっぱりトリックスターと「ゆに」という名前がイマイチ結びつかないので、まだ何らかの隠された要素がありそうな気はしますけどね。
 それと私が検索して調べた範囲だと、元型について解説しているサイトさんの中でトリックスターを重視している所ってあんまり無かったんですよね。もしかしたら検索の仕方に問題があったかも。

 あと、セルフに関してあの後さらに調べてみたんですが、元型の中心で統制を取る司令塔という風に解説されている所もあれば、そうではなくて元型全てが合わさった統合体をひとつの元型とみなしたようなもの、といったものであると解説されている所も。
 ……まあ要するに一番最初のイメージなわけですが。うーん……どっちなんだろ。この辺に関しては時間があったらもうちょっと調べてみたいと思います。

 ちなみにこのトリックスター、例えば物語の中においては誰も思いつかなかった方法を実行して困難を乗り越えていくタイプのキャラクターに象徴されるみたいです。故にどうやら既存の秩序の破壊者で、結果新たな秩序の創造者ともなりうるらしい。
 創造者としての側面も持つが、破壊者としての側面も持つ。プロモーションムービーに登場したゆにのものと思われるセリフに、「みんな殺してやる」という意味合いの物がありましたが、そこに通じるものがありますな。
 では、創造者としてのゆにの役割は何か? ゆには存在するべくして存在するとの事ですが……その辺に関連があるかもしれないと思ったり。
 彼が雪山とSPHIAの両方に登場する事も気になるところ。存在するべくして存在……ならばもしかしたらこの両方の場所に「秩序の破壊者」である彼が必要とされるなんらかの理由があるのかも。目的は既存の「何か」を彼によって破壊してもらう事によって創造される、新たな「別の何か」といったところだろうか。

 もしかして、その「別の何か」こそが「セルフ」なのだろうか? 穂鳥の「セルフはどこ?」という言葉からもわかる通り、この物語に「セルフ」という要因が絡んでくるのはほぼ確定と見て良さそうだし。



R11雑記:計画 03/12/2

 「今さら計画を取り止めるつもりはないから」

 プロモーションムービーに登場したカーリーのセリフ。まあ大抵の人はそう予想していると思われますが、このセリフからもわかるようにどうも彼女は単なる小学校教師ではなさそうな気がします。心理学にも詳しいそうですし。
 そもそも普通の小学校教師がSPHIAなんて特殊な施設に居る時点で不自然なわけで。まあ、現時点で公開されている情報だけで不自然と決めつけてしまうのは早計かもしれませんけれども。
 ところで「何を企んでるの」というセリフもあるけど、むしろ企んでるのはカーリーの方じゃないのかね?
 或いは「計画」ってのは別に秘密でもなんでもない可能性も。だから堂々と「何企んでるんだ」と言えるとか。もしかしたらカーリーが関わっているらしいこの計画すら、黒幕の目的達成の為に必要な要素のひとつとして利用されていたり、なんて妄想してみる。

 「大丈夫よ。私が守ってあげるからね。最後まで、ちゃんと」

 こちらもプロモーションムービーから。このセリフに違和感を覚えた人、いませんか? 普通は「最後まで」じゃなくて「いつまでも」「いつでも」とかいう言い方をするんじゃないかなあ、などと思ったんですが。
 つまり、「最後まで」というからには予め期限が設けられている。「最後」がいつになる予定なのか、明確に設定されているという事なのではないか、なんて。
 それが「計画」の為に設定された期限なのかもしれないな、などと思ってみたり。

 あと、なんにせよ「計画」はその内容からしてSPHIAでなくては実行できないものであると考える方が自然なんでしょうな。

 それと、心理学に通じている人間が何らかの「計画」に関わっているなんて懐かしい構図ですねえ。なんて思ったり。



R11雑記:TrinityとUnus Mundus 03/12/8

 プロモーションムービーに登場したこのふたつの単語について。
 オフィシャルサイトにもサウルとかダビデとかの話が出てきたんだし、「Trinity」はまんまキリスト教における「三位一体」の事なのかも。前にタイトルロゴのバックに描かれたみっつのリングには何らかの意味がありそうだ、と書いたと思いますが、これの事だったんだろうか?

 ただ「Unus Mundus」に関して調べてみると、キリスト教で言うところの三位一体以外にも込められた意味があるんじゃないだろうかという気がしてきたり。……といってもいささか曲解気味ではあるんですが。
 「Unus Mundus」とはなんでもユングが提唱した概念で、精神世界と物質世界の両方を兼ね備えた(或いは未分化?)「一なる世界」の事で、普遍的無意識の領域に在るのだとか。
 ちなみに物質世界に関しては説明するまでもないでしょう。精神世界は観測者の心の中に存在するもうひとつの世界。
 で、この両世界と「一なる世界」というみっつの世界が「三位一体」という関係にあるのではないかなあ、なんて思ってみたり。
 どういう事かというと、まず三位一体というのは本質的には同一である物がみっつの側面を持つ際に成り立つ言葉らしい。で、世界を構成する「精神」と「物質」という相反する要素のうち前者のみで成り立つのが精神世界、後者のみで成り立つのが物質世界、両者を備えた物が一なる世界で、いずれも世界の側面のひとつに過ぎないのでは、というわけです。
 太極図を知っている人なら陰と陽の勾玉のような部分がそれぞれ精神世界、物質世界にあたり、両者が接している境界線が一なる世界で、太極図全体が世界そのものであるとイメージしていただければ私の言わんとしている所がわかっていただけるかも。
 ……もっとも繰り返しになりますがかなり曲解してますけどね。



R11雑記:素数とUnus Mundus 03/12/8

 ゆにの大好きな素数です。その数自体と、1以外に約数を持たない数。とりあえずRemember11なのだから「11」を用いて説明してみると、"最小"の約数はそれ自体が最小の正の整数である「1」、"最大"の約数は元の数自体と同値で、故に約数として取りうる最大値である「11」。
 約数はふたつのみであり、両者は"最小"と"最大"という正反対の属性にある。そんなふたつの約数を持つ素数。なんか、これもUnus Mundusに通じる物があるような気がします。
 ゆにはこの素数を好きだというあたり、彼自体がUnus Mundusという概念と浅からぬ関係がありそうにも思えるんですが……Unus Mundusは「一なる世界」、「単一世界」などと訳されるし、「ゆに」だし。
 それに、彼だけ何故か「ふたつ」の舞台に登場するという点も気になる。案外両者は性格が全く正反対だったりしたら面白いですな。
 ムービーには「両性具有」を意味する単語なども登場したりするあたり、性格どころか性別まで正反対だったりなど、妄想が膨らみます。まあ、大いに外れそうな気もしますが。



R11雑記:AndrogynousとHermaphrodtos(1) 03/12/11

 これまたプロモーションムービーに登場したキーワードなんですが。どっちも「両性具有」を意味するものです。が、詳しく調べてみると両者はどうやら似て非なるものであるらしい。

 まずアンドロギュヌス。こちらはプラトンの「饗宴」に登場する原初の人間の一種で、男女が背中あわせにくっついたような姿をしていたとか。で、今の人間などよりもはるかに優れた力を持ち、神への反乱を企てたのだが逆に神によって体を両断され弱体化させられたという。
 ちなみにこのアンドロギュヌスの話においては両断された半身同士が互いに失われた半身を求め合う事がいわゆる「恋」なのだとされてます。
 対してヘルマフロディトス。こちらはギリシャ神話のヘルメスとアフロディーテの息子の事で、名前も両親に由来するらしい。
 なんでもたいそう美少年だったらしく、ある時泉の精霊サルマキスに求愛されたけれど受け入れず、しかし泉で水浴びをしていた時に諦めきれなかったサルマキスに抱き付かれ、彼女が彼と二度と離れないようにと神に願うとふたりの体が融合し、結果男女両性を兼ねた体になってしまったとか。

 では最初に述べた両者の違いなんですが、まずアンドロギュヌスはあくまでそれ自体で完全なひとつの個体であって、べつにふたつの個体が融合した存在ではないんですよね。対してヘルマフロディトスは全く別の個体であった男女が融合した結果誕生した個体。
 ……てことは、アンドロギュヌスが「起点」で、そこから男女へと分化し、お互いを求め合う。仮にその男女が融合してしまう事を究極形としたら、ヘルマフロディトスは起点に対する「終点」と解釈する事も出来なくもないかも。
 つまり、両者は「両性具有」という意味では共通しているが、その成り立ちが全く正反対である。またもや「同じでありながら正反対」な組み合わせが出てきましたねー。

ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編推理・考察

 昔、同人版「ひぐらしのなく頃に」を進行させつつ、或いは読了後に書いた文章のひとつ。
 全体としては未完成です。完成の予定はありませんが、それでもよろしければ。


冒頭のシーンの語り手は誰か

 一見圭一であるかのようにも思えますが、確実にそうと断言できるだけの証拠はなかったりします。
 が、竜騎士07さんも作成に関わっていたドラマCDを聴くにこのシーンの語り手の声が圭一役である保志総一朗さんの物であるようなので、最初に挙げた可能性が高まったかもしれない。
 個人的にはこのシーン、声によって語り手を絞り込む事が出来ないようドラマCD版ではカットされるかもしれないと思ってたんですけどね。

 ただし、この事によって完全に圭一であると断言できるようになったのかというと、まだわかりません。なぜなら保志総一朗さんが今後違うキャラを兼任される可能性も絶対にないとは言い切れないので。

 ともあれ現時点で得られる情報を元に考えるなら誰である可能性が最も高いかという事であれば、圭一ということになるんじゃないでしょうか。



圭一が体験した数々の現象について

 ■本当に超常現象だったのか
 私は違うと思います。以前メモに書いたように幻覚が原因であったと考えるのが一番自然なのではないかと。では、そうと裏付ける事象が果たして本編に存在していたのかどうか。
 まず、幻覚の原因となりうる何かとして私が考えたのは脳内麻薬でした。そのキッカケは祟殺し編での圭一の変貌、沙都子の叔父を追跡する場面での超人的な身体能力など。脳内麻薬によって所謂火事場の馬鹿力が発揮されていた状態だったのではないかと解釈できます。

 ■本当に脳内麻薬が原因だったのか
 無論辻褄が合ったとしても本編の描写による裏付けが存在しなければあまり意味がありません。が、私は裏付けはキッチリ存在していると思います。
 例えば鬼隠し編における圭一によるモノローグにて「脳内物質」が云々というくだりが何度となく登場しています。

 ■ではどんな脳内麻薬が原因だったのか
 無論脳内麻薬、所謂神経伝達物質にも色々な種類があるわけで、ならばそれらの内で実際に幻覚症状を引き起こす物がないかと調べてみました。結果本編での圭一のあらゆる特徴に通じる物を発見。それがドーパミンというやつでした。

 ■ドーパミンとは
 色々な特徴がありますが、圭一の例において関連しそうな物を以下に列挙します。

 1:過剰に分泌されると幻覚・妄想の原因となる
 2:覚醒剤に似た構造を持ち、分泌されると「ハイ」になる
 3:火事場の馬鹿力の原因となりうる
 4:日常において様々な行動の「動機付け」を行う


 1について
 その実態が幻覚や妄想であったのではないかと思われる事象について列挙してみます。

 「白いワゴンに轢かれそうになった」
 ……と、圭一本人は思っていますが、実際にはワゴンは事前にクラクションを鳴らしています。故に元から彼を轢くつもりで現れたとは考え難いです。
 圭一の方へ突っ込んできた、もっと前から徐行して後を付けて来ていたなどと言った事も含めて彼の妄想でしかなかった可能性が考えられるんじゃないかと。
 或いは圭一の方へ突っ込んできたというのは野生動物かなにか(山の中ですし)を避けた結果そうなったとも考えられるかもしれない。
 また、ワゴンのドライバーが何も言わずに走り去ったのは実際には田んぼに落ちたのは、接触していなかったのにも関わらず圭一が派手に避けたのが原因である事と、なんらかの急ぎの用事があったからだとも考えられるかもしれない。

 「背後の気配」
 幻覚でしょう。鬼隠し編ではレナ、祟殺し編では悟史だと圭一は思っていたようですが、それぞれのシナリオにおいて理由は違いますが強く意識していた人物ですね。

 「おはぎの針」
 これも本当は何か別の物がイタズラとして仕込まれていたのを勝手に針だと勘違いしたのではないだろうか。これまた幻覚か。

 「TIPSのセブンスマート」
 過去の確定した事象を思い返しているだけである筈なのに後ろを振り返る事など出来るわけありません。これも妄想でしょう。

 「現場監督」
 常識的に考えれば生きている筈はない人物が生きていると思いこんでしまった。これも妄想?

 「魅音が取り出した注射器」
 伏線としての「おはぎ」の罰ゲーム。そして「富竹さんと同じになる」という言い回し。富竹さんが殺害された事を知っていた圭一は自分も同様に殺害されると勘違いしましたが、実際には前述の二つを合わせて考えるに圭一のシャツにラクガキをしようとした、といったところだったのでしょう。胸倉を掴んだのはシャツのシワを伸ばしてラクガキしやすくする為だったんかな?
 つまり、魅音が取り出したのは注射器ではなくサインペンか何かで、富竹さんの殺害方法に関して未知の薬物による可能性も頭にあった圭一は、棒状でキャップを外せば先端が先細っているそれを注射器と誤認したのではないだろうか。つまりこれも幻覚。

 2について
 例えば祟殺し編で沙都子が性的虐待を受けたと察した直後に彼女の叔父殺害計画を凄まじい速度で思考する場面や、実際彼を山中で追跡している場面での描写がわかりやすいかと思います。
 極度の興奮状態にあり、普段の圭一とはまるで別人のようになっているのがわかるかと。

 3について
 典型的な例は祟殺し編における沙都子の叔父を追跡するシーンにおける極めて優れた運動能力でしょう。彼は本来特別運動能力が優れているわけではない事は少し前のシーンでも述べられています。
 また、鬼隠し編終盤で魅音とレナを殺害してしまう場面。羽交い締めにされた状態から瞬時に逆転し、金属バットを手にしたとはいえ格闘能力に優れた魅音とレナを二人同時に相手をして一方的に殺害してしまっています。

 4について
 ドーパミンは日常のあらゆる行動に関する動機付けをする役割を負っているとか。例えば何らかの行動に自分にとって意味があればそれを実行しようとする際にはドーパミンが分泌されるのだという。

 さて、ここで祟殺し編での学習塾で聞かされた話です。
 圭一は意味を持たない問題に関してはその優れた頭脳を全く発揮できない。その逆ならば極めて優れた結果を叩き出した。つまり、後者の原因はドーパミンの過剰分泌によって本来の能力を充分引き出せた事であると考えられないだろうか。
 そうであったとすると元々圭一は潜在的にドーパミンの過剰分泌に起因する幻覚・妄想といった症状に陥りやすい人物であったとも考えられるかもしれない。

 以上に挙げられた特徴は、本編における数々の事象と見事に噛み合っています。よって私は多くの不可解な現象の原因はドーパミンの過剰分泌が原因であると考えます。

 ■ドーパミンが過剰分泌されたのは何故か
 これに関しては神経伝達物質に関して調べている際に、ドーパミンに目をつけてからそちらを集中して調べて行く過程で知った事なのですが、統合失調症とよばれる物の症状の中の幾つかはドーパミンの過剰分泌が原因となっているらしいです。

 ■統合失調症とは
 かつては精神分裂病と呼ばれていた物で、この呼称には差別的なイメージがあるとの事から近年改称したそうです。ひぐらしの舞台は昭和五十八年ですから、もしも解答編にて言及されるような事があるのなら、精神分裂病という呼称の方が用いられるかもしれません。
 上の方で圭一はドーパミンの過剰分泌に起因する幻覚・妄想といった症状に陥りやすい人物であったのではないかと推測していますが、彼が統合失調症であったのであれば納得がいく気がします。

 さて、繰り返しになりますが辻褄が合うだけではあんまり意味がありません。圭一の症状が統合失調症によるものであるのならば、本編中にそれを裏付ける物があったかどうか。無論既に述べている通り彼の症状からその可能性が考えられますが、他にも何か裏付けになる物はないだろうか。
 そこで私はふと、祟殺し編における学習塾でのやりとりで「クレペリン検査」という単語が登場していたのが気になりました。そこでそちらの方で調べてみたのですが……もしかしたらアタリだったかもしれません。
 なんでもこのクレペリン検査の名にも用いられているクレペリンなる人物は今日の精神医学の基礎を築いたという精神医学者で、その業績の一つとして統合失調症の確立があったのだとか。
 つまり、回想シーンの学習塾に関するエピソードは圭一が統合失調症である事の伏線であり、特にクレペリンの名が出て来ているのは作者である竜騎士07さんがさりげなく提示したヒントだったのではないでしょうか。
 できればもうひとつくらい裏付けになるような事柄が欲しいところですが、ともかくこれらの事柄から私は圭一は統合失調症であったという事でほぼ確定であると現在のところ考えています。



TIPSのセブンスマートにて、圭一の背後にいた者は

 既に述べた通りこれは妄想だったと思っているわけですが、そうであったにしても圭一は何を見たのだろうか?
 まず、彼はこの場面で後ろを振り向いた後……

 1:目の前の「何か」をすぐには理解できていない
 2:そして理解できた瞬間に恐怖により悲鳴をあげている


 これらの事から解答はある程度搾る事ができると思います。まずは以下に、除外できると思う物を列挙してみます。

 「レナ」
 そもそも圭一はレナの可能性を考えていたわけですから、前述の条件1からして既に該当しません。

 「レナ以外の友人・知り合い等」
 もしかしたら何故その時その場所にいたのか理解できないという事で条件1は当てはまるかもしれません。しかし条件2に該当するにはちょっと無理があります。

 「知らない人」
 上と同様条件1はともかくとして、条件2が該当しづらいと思われます。

 「視覚的に恐ろしい何か」
 そうであるならば見た瞬間に悲鳴をあげるでしょう。条件1に該当しません。

 「オヤシロさま」
 圭一はオヤシロさまの外見を知りません。仮にオヤシロさまの外見が視覚的に恐ろしいものだったとしても既に述べた通り条件1に該当しません。

 「何もいなかった」
 条件ふたつとも該当しません。

 では結局一体なんだったのかというと……祟殺し編を読んでいてふと思った事があります。
 振りかえった先に居た者が圭一自身であったのならば、条件1・2共に該当するのではないでしょうか。
 もしかしたら祟殺し編における「もうひとりの圭一疑惑」や、その話を聞いた入江先生の口にした「ドッペルのおばけ」という単語はこのTIPSに関するヒントだったりして、などと思ってみたり。



背後の気配の正体は

 上の考察と合わせて考えるに、原因は自己像幻視だったのではないだろうか。要するに自分以外に自分が居るという幻覚で、統合失調症においてもこれを発症し得るようです。
 有名なドッペルゲンガーに関する数々の逸話の何割かはこれが原因だったのではないかと言われています。また、ドッペルゲンガーは見たら近い内に死ぬ、或いは死に近い者が見ると言われています。これらの特徴は、鬼隠し、祟殺し編における圭一と、綿流し編における魅音の姿をした誰か、そしてもしも死亡しているのならば悟史に関しても通じるものがあります。
 ただ、実際に見たわけではなく背後に気配を感じているだけなので完全に一致とまではいきませんが。しかし色々と似た部分があるのがかなり気になるところです。



雛見沢村と統合失調症

 以下はホトンド妄想ですが。

 外部からやってきた圭一はともかくとして、雛見沢出身の人物で、圭一と同様の症状を発症した人が何人か居ます。レナ、悟史、そして場合によっては魅音・詩音。もしも彼女達が同じく統合失調症であったのなら、と考えてみました。
 統合失調症を発症する確率は平均して1%程度だそうです。しかし同じ統合失調症でも症状の重い人ほど当然少なくなると思われます。そうなると……雛見沢村の人口が1000人強である事を考えると、同時期にこれだけ沢山、しかも重い症状に陥った人物が出てくるのは確率的に高すぎではないでしょうか?

 統合失調症は、今なおその原因がハッキリしていないのだそうです。
 遺伝的要因によるものではないかという説もあります。実際、発症している人の近親者は同じく発症する確率が少し高まるようです。
 ただし、一卵性双生児の場合でも(資料によって微妙に数値は異なりますが)50%前後。遺伝子レベルではまったく同一である双子でも100%にならないという事は、遺伝的要因は大きいが、しかし他にも何らかの要因が存在すると考えたほうが良さそうです。
 そこで有力な説として遺伝的要因と環境的要因の複合説があります。つまり、遺伝的に統合失調症の因子を持った人物が、特定の条件を満たした環境に身を置くと発症すると。
 因子が回路で環境がスイッチといったところでしょうか。これならばふたつの条件が揃わない限り発症しません。

 そこで最初の話に戻るわけですが……雛見沢村は統合失調症の遺伝的要因と環境的要因を兼ね備えた村だったとは考えられないでしょうか?
 過去には外界との交流を極力断っていた事から住人の血は当然濃くなっていったと思われます。そうなると特定の遺伝的要因が色濃く受け継がれる可能性も十分に考えられます。
 環境的要因に関しては……確かに雛見沢の環境は特殊ではありますが、肝心の統合失調症の環境的要因に関して現段階では情報不足なのでなんとも。

 ともかく、雛見沢村の住人が統合失調症を発症しやすいのだと仮定すると、色々な事が説明できるような気がするんですよね。裏付けが少ないので断定しづらくはありますが。

ひぐらしのなく頃に 祟殺し編メモ

 昔、同人版「ひぐらしのなく頃に」を進行させつつ、或いは読了後に書いた文章のひとつ。
 全体としては未完成です。完成の予定はありませんが、それでもよろしければ。


メモ

 ■監督
 鬼隠し編で圭一に第一の事件の犠牲者が生きているのではないかと思わせた「監督」という単語。これまた蓋をあけてみればこれまで同様どうという事はありませんでした。レナがあの時呼んだ医者=監督=入江先生だったという事なんでしょう。
 その後訪れた白衣の男も圭一はその姿自体が油断させる為のフェイクだと判断していましたが、もうあの時の彼の精神状態からして被害妄想が暴走してそうだし、チャイムを押したあの白衣の人物も普通に入江先生だった可能性が高そうですね。
 他に何人か部下らしき人物が隠れてたのはまあ、圭一が既に通常の精神状態じゃなくなっている事をレナの電話から知っての事だったのかも。

 ■転校
 この言い方をするのは主にレナと魅音と入江先生。それに不快感を示すのが詩音。

 ■雨が降る日
 他のシナリオと違いますね。カレー騒ぎ、詩音との出会いなどのイベントも起きた時期がかなり早いと思われる。
 後者の登場人物達の行動に関しては特に問題は無いと思う。けど、天候の違いは一体……?

 ■レナは勘が良く、なかなか嘘には引っかからない
 鬼隠し編であっさり嘘を見破ったのも別に超能力でも何でも無いと言うことだろうか。綿流し編での名探偵ぶりもこの辺に起因していたんでしょう。

 ■もしも火山が爆発して~とかなんとかいう話
 レナが後の大災害を予知していたというわけではないだろうけど、この奇妙な一致は興味深い。まあ普通に考えたら単なる演出で他意はないのでしょうけれども。

 ■トラップ講座
 これまた重要な手がかりになってそうな気がします。特に相手をトラップにはめる為に相手の思考・行動を予測するというあたりが。
 同様の手法によって特定の人物の行動を意図的に誘導する、という事が今回の事件において行われていた事、或いはそのようになってしまう"場"が誰の意図にもよらず自然に形成されていたという事を暗示していたのかもしれない。
 例えば圭一と、そして恐らくは悟史の心理。祟りに関して多くの者はそれが発生しない事を望む。しかし、一部は祟りと称して敵を討つことを許される機会と認識する。そんな場が形成された事を暗示している?

 鬼隠し編で圭一と悟史の行動がピッタリ一致していたというのも実は不可思議な現象でもなんでもなく、そういう風に両者に行動させる場が形成されていたとも考えられるかもしれない。

 ■レナの変貌
 祟殺し編で悟史の件を追求されたレナは、少なくともプレイヤーから見たら鬼隠し編と同様の変貌を見せた。しかしそれを見た主人公である圭一は、鬼隠し編の時と同じように別人のようだとか、何かに憑かれたようだといった感想は抱いていなかった。
 つまり、鬼隠し編の圭一はちょっとの変化をおかしな方向へ解釈してしまう特殊な精神状態にあったという事の裏付けになるかも?

 ■詩音はバイクを持っている
 綿流し編ラストの圭一を刺した魅音らしき人物が実は詩音だとしたら、離れた場所で起きたふたつの事件がほぼ同時刻に起こり得るかどうかという問題点もこれで解消できる……かもしれない?

 ■魅音ももしかしたら持っている?
 原付の免許を取るのなんて簡単だという話をしていたらしい。伝聞形で言うのではなくて断定しているあたり、魅音自身も免許とバイクを持っていた可能性も? そうだと仮定すると前述の綿流し編ラストの人物はやはり魅音で、それ以前に死亡していた方が詩音だったという事もあり得るかもしれませんが。

 ■圭一は大石さんを知っていた?
 祟殺し編で彼が初登場した時、圭一はまだ彼の名を知らない筈なのにモノローグには「大石」と出て来てたんですよね。伏線かミスかわかりませんが……流石にこれはミスかなあ?

 ■圭一の才能
 意味を見出せない問題には弱いが、そうでなければ極めて優れた能力を発揮する。塾でも数人しか居ない選抜クラスに入れるほど。
 そんな圭一の長所を知っているのに何故両親は雛見沢に引っ越したのだろうか。
 なお、殺人モードに切り替わった時の圭一の「肉体の能力をギリギリまで引き出す技術」も彼のこの才能と何か関わりがあるかも?
 ちなみに不完全なカタチでこの状態になったのが鬼隠し編や綿流し編でも何度か出て来た周囲がスローモーションになる現象、なんだろうか?

 ■そういや診療所で鷹野さんと会った事はなかったような
 全編通して無いんですよね。これも伏線になるんだろうか?

 ■大石さんがオヤシロさまの使いとされている
 彼と関わった者が不幸な目にあっている→結果、彼と関わった者に不幸をもたらさねばならないという思考が村人全員の無意識の中に芽生える?

 ■背中の刺青
 沙都子の叔父の刺青も、結局魅音同様未確認のまま。

 ■恐慌状態に陥った沙都子に対するレナの反応
 鬼隠し編にて語られていたレナが過去に起こした事件ですが、仲の良かった男子生徒三人によるレイプ(或いは未遂)が原因だったのではないだろうか。
 事件があった場所もあまり人気がなさそうだったし、元からそのつもりでレナをそこへ誘いこんだのだとも考えられる。男子生徒達の口が重いのはレナの豹変が恐ろしかったからだけではないのかもしれない。
 レナが「嘘」に対して極度に敏感になったのも、信じていた友人の裏切りを過去に経験していたからだとも考えられるかも。

 ■祭具殿の音
 綿流し編でのこの音、なんでも子供がドタバタやっているような音だったらしい。丁度沙都子の告白の内容と合致するような……何らかの関連が?

 ■亀田君は死亡している?
 自伝だかなんだかにK(圭一)について語っていたとかいってた気がするんだけど……?
 といってもこれまたミスで、単なる揚げ足とりでしかないかもしれませんが(汗)

 ■大災害の被災者リスト
 沙都子とその叔父。そして大石さんと熊ちゃんが行方不明。他三人はほぼ確実に殺されてそうですが、沙都子に関してはその後どうなったのかが一番謎めいていると思う。
 詩音は何故かこちらのシナリオでも自殺している。なお、詩音に限らず雛見沢の親類の多くが大災害後に自殺しているらしい。

 ■圭一が死亡した時期と二度目のガス噴出のあった時期
 後者は確か同年の秋頃でしたよね。正確な日付は明かにされてませんが、もしや両者はほぼ一致している……?



疑問点

 ■祭
 七時ごろには既に雨が大降りになっていた。にもかかわらず翌日のクラスメイトの言動によれば圭一達はかなり遊びまわっていたらしく、しかも奉納演舞まで行われたという。
 彼等が口裏を合わせていただけであったにしても、なんかおかしい気が。

 ■リサさんて?
 診療所での入江先生達の会話にて、鷹野さんの名と一緒に出て来た事から同じ診療所繋がりの人物なのか……はたまた鷹野さん同様祟りとは縁のなさそうな人物だと思われていたのか。
 後者ならばリサという名の響きから梨花の母親の可能性もあるかなあ、などと思ったりもしましたが。


 他は推理・考察コンテンツに掲載

2025年11月27日木曜日

ひぐらしのなく頃に 綿流し編メモ

 昔、同人版「ひぐらしのなく頃に」を進行させつつ、或いは読了後に書いた文章のひとつ。
 全体としては未完成です。完成の予定はありませんが、それでもよろしければ。


メモ

 ■シンパシー
 部活動の連想ゲーム。鬼隠し編のメモの最後の方で書いた、祟りをはじめとする超常現象やらなんやらは村人達に共通する妄想だったのではないかという仮説に関連するわけですが、その村人全員の思考が統一されるに至るまでの話を暗示しているとも解釈できるかもなあと思ったり。
 尤も繰り返しになりますが、部活動が何かの暗示であるという仮説を正しいと仮定した上での話ではありますけれども。

 例えば、なんらかの特殊な現象が発生したとする。それを見た者達がその正体として推測する内容がバラバラだったとしたら、特に異常な事態へと進展する事はない。けど、ほぼ全員が同じモノを連想せざるを得ないような現象だったとしたら?
 連想ゲームというのは、ある事柄から連想するモノが複数の人間同士で重複する可能性があるという事を利用したゲームなわけですが、そこから発展させて一部の人間のみならず、全員とまではいかずとも大半の人間の連想が重複するという現象を考えてみる。

 例えばPC上でランダムに四桁の数字を表示するプログラムがあったとします。それを実行していきなりゾロ目が出たとしたら、きっと多くの人は驚くでしょう。中には人知の及ばぬ力が働いたと妄想する人すら居るかもしれない。
 けどここで仮に、このプログラムを仕込まれたPCに人格らしきものが存在したとする。彼は目前で驚く人間を見て、きっと不思議に思うんじゃないでしょうか。何故なら最初にゾロ目がでようが何の法則性もない数字がでようが彼にとってはなんら驚くに値する事ではない。0000~9999の間のどんな数字にしても出現確率は一緒なんですから。
 じゃあ人間達が驚くのは何故かというと、特定の物や現象に何らかの意味を見出す生き物だから。しかも「ゾロ目」の数字に特別な意味を見出す人は極めて多かったからPCは不思議な思いをする事になったというわけである。

 上記の事柄を踏まえつつ話を戻しまして。
 あるコミュニティにおいて、なんらかの現象が観測されたとする。それは知識のある人なら何故そうなったかを論理的に説明できる物であった。
 ……しかし前回の鬼隠し編のメモの最後で書いたように、その場にいた人間の大半がその知識を持っていなかったら。そしてその現象がそのコミュニティを形成する多くの人々にとって「ゾロ目」にあたるモノだったとしたら。つまり、予め申し合わせる事無く同じ物を連想させ得るモノだったとしたら。

 勿論、中には違った考えを持った人もいたかもしれない。けどここで「連想ゲームで勝つためのコツ」を思い出して欲しいんです。例え自分の考えと違っていようと、得点する為には敢えて自身の考えは捨てて他の多くの人達が考えそうな事を回答として書かねばならない。
 つまり、ちょっと周囲の意見に否定的な考えが頭をよぎった人が居ても、まわりの人達がそうと信じてるもんだからそれに流されてしまったという事もありえたのではないだろうか。

 そして雛見沢村の住人達の特長。異常ともいえる固い結束。それが培われた過去の歴史。それらを考慮に入れるとなんか、見えてくる物があるような。

 つーかこれだけ長々と書いて後で的外れな内容だったと明かになったらどうしよう。痛い痛い。

 ■部活メンバーの特長
 周囲の人間を扇動する者、見破るのが困難なトラップの設置を得意とする者、それらが通じない天然、口先の魔術師、そして全てにおいて優れている者。
 案外今回の雛見沢村の特異な状況の縮図だったりするかもしれないなあと思ったり。無論、村人達がそれらを自覚的にやっているのか、自覚せず結果的にそうなっているだけなのかはわかりませんが。

 ■クイズ番組
 を、眺めていた圭一がなんとなく考えていた事。テレビの視聴者という気楽な立場なら簡単にクイズの答えが思い浮かぶが、実際参加者としてプレッシャーを浮けていたのなら自分もどうなるかわからないかも、とか。
 ……つまり、冷静に考えれば祟りなどの超常現象の存在を否定し得る仮説を思いつくが、自身が巻き込まれてしまってはなかなかそうもいかない、という事を暗示している?

 ■魅音が知り得ない筈の事を知っていたわけ
 鬼隠し編で魅音は圭一が大石さんと一緒にいた事を何故か知っていたわけですが……種明かしをしてみれば意外と普通でしたね。多分エンジェルモートで働いていたからなんでしょう。
 こんな感じで数々の怪現象も蓋をあけてみればなんら不思議な事ではなかった、という事になるんだろうか?

 ■富竹さんの行動の違い
 鬼隠し編では演舞を撮影していたととれる描写がある。しかし、綿流し編ではその描写がなかった。ただ、早々に撮影を切り上げて鷹野さんの所へ行ったという事なのかもしれませんが。

 ■鎮める/沈める
 ・オヤシロさまの祟りを鎮める為に生け贄を三日三晩かけて沈めたらしい
 →鬼隠しに水難が多い事へと繋がる

 ■鬼
 ・ある時鬼ヶ淵から現れて村の人々を襲った
 ・鬼達の世界から追放されたらしい
 ・人間とは容姿が大きく異なっていたらしい
 ・オヤシロさまには戦わずして平伏した
 ・人間達に自らが持つ力や秘法を伝えたという
 →それはそのまんま超能力・魔術といった類の物だったのか、それとも?
 ・人食い鬼だったらしい
 ・混血は定期的に人食いの衝動に駆られたという
 →鬼隠し・ワタ流しの原因

 ■オヤシロさま
 ・強大な力を以って鬼達を成敗したのではない
 →鬼達に戦わずして降伏させるほどに、そもそも存在の格が違っていた?
 ・鬼達を人間と同じ容姿へと変える能力があった?
 ・祭具殿にある御神体は仏像のようだと圭一は言っていた

 ■選民思想
 ・鬼ヶ淵村の人々は自らを優れた民族だとし、外界を穢れとした
 →鬼との混血により優れた力(技術?)を得た為?

 ■ワタ流し
 うわあ……実は最初に「綿流し」と聞いて、そんな隠された意味があるんじゃないかと妄想してたんですが……妄想じゃなかったとは(汗)
 ・明治時代にその儀式の犠牲者らしき遺体が発見されている
 ・自分達が優れた民族であるという事を強引に示す為の儀式でもあった
 ・村人全員が好んでやっていたわけでもなく、逆らおうという気を起こさせない為の見せしめ行為でもあった

 ■祭具殿で音が聞こえたか、聞こえなかったかの違いの意味するところは何か
 ・音が聞こえたのは詩音、富竹さん
 ・聞こえなかったのは圭一、鷹野さん
 その内、死亡したのは富竹さんと鷹野さん。聞こえたら死亡、というわけではない?
 なお、詩音に関しては天井の祭具に人らしき存在を見ていた?

 ■鷹野さんは三年前に親知らずを治療している
 本人元々は雛見沢の人間じゃないと言ってたけど、少なくともやってきたのは三年以上前からだという事になる。

 ■長編推理小説が六冊
 図書館に返して来るよう頼まれた本。……もしかして、「ひぐらしのなく頃に」も全六話?

 ■御三家
 ・公由、古手、園崎
 ・鬼の血を濃く受け継ぐ家系らしい
 ・園崎は一番格下扱いだったが近代においては立場が逆転

 ■園崎
 ・雛見沢、興宮一帯を牛耳る
 ・一部(全部?)はヤクザ
 ・ダム建設反対運動時は水面下でかなり非合法な戦いを行っていた、言わばダークヒーロー

 ■部活の推理ゲーム
 鬼隠し編ではレナと力を合わせて勝とうと約束したが、それは果たされる事は無かった。しかし綿流し編で、しかもこんな形で実現するとは……。

 ■魅音と詩音の死
 同じような死に方をしている点が気になる。

 ■注射器
 またしても。前回は魅音が持っていたが今度は梨花。……もしかして中身は御三家の人間しか知り得ない物だったり? そうだとすると鬼達から伝えられた秘法だかなんだかとの繋がりが気になるところ。



疑問点

 ■悟史は本当に家出?
 電車に乗るところを目撃されてたとか。本当に彼は家出しただけなのか、それともこれ自体情報操作によるものなのか……?

 ■圭一の能力(?)
 あの固有時制御……じゃなくて世界がスローモーションになるアレですが、鬼隠し編では彼の精神面になんらかの異常が生じている可能性があったのでその副次的効果だったのか、それとも彼自身の特技だったのかはわかりませんでしたが、エンジェルモートでもアレが発現していたので後者なんだろうか? 或いは綿流し編でも気づかないうちに圭一に異常が発生していたという可能性も?

 ■鬼の正体
 やはり漂流した外国人? 拷問の道具の一部が昔のヨーロッパで用いられていた物に似ているという点も気になる。偶然の一致なのかもしれませんが。
 人間の知らない力・秘法を持っていたようだが……当時の日本人では見た事のない外国産の何かを用いれば、村人達には魔法のように見えたという事もあり得たとも考えられる。

 ■二重人格と遺伝
 TIPSにて二重人格の原因のひとつとして遺伝のような先天的要因が挙げられてましたが、実際そのような事があり得るのかという点はともかくとして、この作品においてはそうなのだと仮定したら……人食いの衝動に駆られる混血達に通じるものがあるような……。
 そして前回・今回の魅音の変貌も鬼の血が原因だったという事に? そして実は鬼隠し編でのレナの変貌も同じ原因によるものだったのだろうか。

 ■鷹野さんは自殺だったのか
 スクラップブックの内容から彼女は「次は」園崎家に興味を示していた事がわかる。あれほどに知的好奇心の強かった人物がまだ強く興味を持った物があるというのに自殺などするとは思えない。やはり他殺である可能性が高いと思う。

 ■何故今回は鷹野さんの遺体が発見されたのか
 わかりません。それと発見して欲しいんだかして欲しくないんだかもよくわからんという大石さんの意見に同感。

 ■死亡推定時刻の謎
 これもお手上げ。一体何がどうなってんだか。確かに鷹野さんはどこか普通じゃない感じではありましたが。

 ■鬼隠しと水難
 元々オヤシロさまの怒りを「シズメル」為の生け贄の儀式になぞらえていたようではありますが……けど今回明らかになった事によると、「鬼隠し」って綿流しの方に関連するものであって、前述の儀式とは別個のものなんじゃあ……?? このへんに関してまだ何か明かにされてない部分があるのでは。そういえば「シズメル」為の祭具も登場してませんね。

 ■なんで梨花は注射器を持っていたのか
 彼女は事態を収拾しようと動いていたようで、恐らく魅音に何らかの対処を考えていたと思われる。その為にあの注射器が必要だったのだろうか。そしてその中身は鬼隠し編で圭一が注射されそうになった物と同じなのだろうか。
 仮にそうだとすると、精神面での異常を改善するなんらかの薬品である可能性も考えられますが……。

 ちなみに大石さんはインスリンの可能性を考えてましたが、ふと、健康な人間にインスリンを投与したらどうなるかと思ってちょっと調べてみました。恐らくその場合低血糖になると思うんですが、その症状には躁鬱、幻覚、アドレナリンの過剰供給による攻撃性といった物もあるようで。
 これ、鬼隠し編の圭一や富竹さんに通じる物があるかなあとも思いましたが……しかし文化的な自殺ではないという問題点は解決できません。更にはいくら同じ低血糖症になっていたからといって果たしてあそこまで挙動が酷似するかという疑問点も。検死時にもインスリン過剰にはすぐに気付きそうな気も。
 まあ、折角調べたので一応書いておいてみます。多分間違ってそうな気はしますが。

 ■圭一を刺したのは何者か
 魅音だとすると不可解な事になるようですが、詩音だとすると辻褄は合うかもしれない。というか、以下の点から詩音であるような気がするんですが。

 ・お迎えがすぐ後ろまで来ていると言っていた
 ・背中をさすろうとしたら叩かれた
 ・マンションには詩音以外の人物の存在を示す痕跡は存在しなかった
  →存在しない筈の誰かと争った?


 何れも鬼隠し編での圭一の身に起こった出来事、そして恐らく富竹さんの身に起きていたと思われる出来事に通じるものがあると思う。つまり、オヤシロさまらしき存在にとりつかれたかのような。
 ここで思い出して欲しいのは詩音が祭具殿で圭一達には聞こえなかった音を聞いていた点ですね。そして同じく音を聞いていた富竹さんは鬼隠し編と同じような死を迎えている。
 聞こえなかった圭一の方は今回鬼隠し編で体験したような現象は起きませんでしたが、聞こえた詩音はもしや?
 ただ、圭一が刺されたのと詩音が転落死したのとがほぼ同時刻らしいのですが、両事件には最大でどれくらいの時間差があり得るのかという点が気になるところ。あんまり時間差が無かったら同一犯ではありえませんから。大石さんはそういった点からは同一犯である事を否定するような事はありませんでしたが。

 ■どこからどこまでが魅音で、詩音なのか
 お約束ですが、推理物に双子が絡んできたら重要ポイントとなりますやね。魅音の方には背中に刺青がある筈だとの事だが、結局本編では確認できなかったという点も気になるところ。
 それと、最後に実は魅音が逃走時の段階で既に死亡していたという事が明らかになりましたが、それも本当に魅音だったのかどうか。

 ■双子の忌避
 ちょっと過剰ではないかとさえ思えますが。鬼の血と双子という要因が絡むとなんらかの問題が生じるのだろうか? それが常識では考えられないような内容だったりして。そうと考えれば魅音と詩音に関しては、一方が間引かれずに済んだものの離れて暮らす事になったのだとも考えられるかもしれない。
 鷹野さんは魅音の方が才能に優れているとされているが、自ら両者に接した感想からはそんな偏りは感じられないとスクラップブックに残している。これも人間としての才能ではなく、鬼としての才能とでもいうべきものが実在し、魅音が優れているとされたのはそちらだったのだとするとなんとなく辻褄は合う気がしますが……。

 ■過去の四回の鬼隠しの犠牲者の遺体は発見されたのか
 井戸の底から遺体が発見されたというが、今回の事件の犠牲者に関しては言及されてたものの、過去の事件の犠牲者に関しては特に言及されていなかった。やはり現段階ではまだ過去の事件も園崎が犯人だとは確定していないと思う。

 ■死後十年以上?
 それだけ経過しているとみられる人骨が少なくとも三人分発見されたという。十年以上となると五年前の最初の祟りよりもさらに前だという事になる。一連の祟り騒ぎとは無関係……?

 ■結局前回も今回も何故圭一は命を狙われたのか
 お疲れさま会で指摘されてましたが。うーん……両シナリオでの共通点というと。そのシナリオでのヒロインの好感度が上がって、しかもそのヒロインを傷付けているとか。圭一の恋愛ノベルの主人公的キャラクターが災いの種となる、というような事もオフィシャルサイトに書かれてるし。とりあえず現時点で思いつく事はそれくらいだろうか。
 そういや鬼隠し編での「ごめんなさい」、そして今回の事件の大元の原因である「圭一が謝り損ねた事」という共通点も気になる。

ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編メモ

 昔、同人版「ひぐらしのなく頃に」を進行させつつ、或いは読了後に書いた文章のひとつ。
 全体としては未完成です。完成の予定はありませんが、それでもよろしければ。


メモ

 ■いつつの祟りの共通点
 ・犠牲者はひとりが死亡、ひとりが行方不明。
 ・死亡者の内一度目、四度目、五度目は殴られているという共通点がある。一度目はバラバラ殺人という点が目立つが、元々の死因はそちら。
 ・行方不明者の内一度目、二度目、三度目の祟りにおいては水難という共通点がある。ただし、一度目、三度目はそうと確認されていない。

 ■金属バットの系譜
 ・レナ→悟史→圭一。
 ・レナと圭一に関しては実際暴行に至った。悟史は不明。
 ・悟史のケースと圭一のケースはきわめて酷似している。だが、本編の描写を見る限り、少なくとも圭一視点からは意図的にそのようにさせている何者かの存在(オヤシロさまのような常識外のものを除く)は感じ取れない。
 ・「暴行に至った」件は祟りの共通点のひとつとの関連が気になる。

 ■昭和五十八年という時代設定
 やはり意味もなくそうしているわけじゃなさそうな気がする。この時でないといけない何かがあるんだろうか?

 ■部活動の意味
 単なる日常描写に留まらず、何らかの意味がありそうな気がする。といっても直接物語に絡んでくるという事ではなくて、何かを暗示しているのではないかという気がする。
 例えば推理ゲームに関しては圭一とレナの情報を合わせることによってより正解に近付くという行為が「ひぐらしのなく頃に」という作品の謎を解くにあたっての基本に通じるものがありそう。シナリオ一本だけではまず正解には辿り着けないだろうから。

 他に気になった物は鬼ごっこでしょうか。特に以下の点。

 ・鬼は伝染病型。どんどん増えていく。
 ・ゲーム中、本来ゲームに加わっていない下級生達を扇動して利用している。

 →鬼達と村人との関係を暗示?
 ・鬼だと思っていた魅音は実は鬼のふりをしていただけだった。
 →死んだと思われていた人が生きているという事の暗示?

 ■富竹ジロウ
 ・雛見沢に来るようになったのは五~六年くらい前らしい。丁度最初の祟りの直前?
 ・どうもそういう名の人物は彼の生活圏には存在していないらしい
 →偽名?
 ・圭一は本当は別の目的で村にやってきていたのではないかと勘繰った事がある。富竹さん本人の言動からもそうととれるような部分がなくもない。

 ■富竹さんの自転車
 遺体発見現場から三百メートルほど離れた場所で発見されている。何故乗り捨てたのだろう? 逃げるなら自転車の方が速いと思うのだが……。

 ■レナと魅音の豹変
 二重人格の可能性が示唆されているが……それは知り得ない事を知り得る点の説明にはならない。果たして?

 ■警察には圧力がかかっている
 園崎家の議員ふたりが動いていた。これによってある程度プレイヤーが得られる情報は消されていると考えて良い筈。

 ■オヤシロさまの特長
 境界線の守り神といったところだろうか。線の内側に入る、のみならず外側に出る事も許さない。その理由は不明。

 ■鬼ケ淵
 ・鬼の住む世界へと繋がっているという。
 ・鬼は病気を治してくれたりする事もある。
 ・鬼達の狩りを村人は邪魔してはいけない。

 ■他の村人は正気?
 レナや魅音と違って他の村人達(ダム建設現場跡で襲ってきた連中や、白いワゴンの連中)は正気のまま圭一に危害を加えようとしていたように思える。

 ■監督なる存在
 そもそも本当に死亡した現場監督の事なんだろうか?
 案外村で起きてる数々の事件自体に筋書きが存在していたと仮定するなら、レナがもうひとつ例として挙げていた「映画監督」の方も当てはまりそうですが……むぅ。

 ■電話ボックスで瀕死の圭一を発見したのは村の駐在さん
 つまり、最後のシーンで定時巡回に出ていて連絡が取れないとされた駐在さんであるらしく、大石さんが手配して送られたパトカーに乗っていた警官達ではない。
 村ぐるみの犯行の可能性も考慮に入れると、"村の"駐在さんである点がかなり気になるかもしれない。

 ■麻雀
 圭一から電話がかかってくるよりも前の場面での大石さんと熊ちゃんの麻雀に関するやりとり。これもなんらかの伏線になっているのかも?



疑問点

 ■注射器の中身は何か
 魅音は富竹さんと同じになる、というような事を言っていた。これを素直に解釈するとアレを注射される事によって富竹さんのような死に様を迎えるという事になるかもしれませんが、しかしそうだとしたらおかしな事がある。
 まずひとつは、注射をされなかったにも関わらず圭一は富竹さんと同じような死を迎えているという事。
 そしてもうひとつは、富竹さんの遺体に注射痕が存在していたのなら本編でそういう描写がないと不自然だという事。今回の事件の原因として薬物の存在を可能性のひとつとして疑っていた警察が見逃す筈はないと思うのだが……。

 ■大石さんはオヤシロさまの使いなのか
 大石さん視点での描写なども見るに、違うでしょう。圭一が悟史と全く同じ行動をとった件を考えるに、大石さん自身気が付いていないだけで彼はオヤシロさまの目論見通り動いているという可能性も否定はできませんが……現時点ではそうと断じる根拠は薄いと思う。
 ただそうであるとすると仮定すると、それによって得する誰かが存在する可能性は考えられるかも。

 ■針の行方
 本当に存在していたのかどうかも怪しい。だが、圭一の母、或いは両親もまた今回の事件に関わってくると仮定するならば実在していたとも考えられる。針を処分できたのはこの人達くらいだと思うので。
 ちなみに後に圭一が魅音におはぎの件で問い質した際の会話から察するに、彼女は針の事を恐らく知らない。おはぎになんらかの悪戯をしたのは確かだが、それは針を仕込むというほど危険な内容ではなかった事は会話を読めばすぐにわかる。そのせいで微妙に会話が噛み合ってません。

 ■時計裏のメモに関する疑問
 個人的にはアレの一部と注射器を持ち去った犯人がそうした理由よりも、敢えてメモの一部を残した理由の方が気になる。富竹さんが手にしていた角材は犯人の偽装工作ではないかという仮説があがった時の反論同様、そんな事をするくらいなら全部持ち去ってしまえば良いと思うのだけれども。
 ……つまり、犯人はあれを残しておく必要があった?

 とりあえず、その意図に関しては置いておいて。次にこの件の犯人は誰であるか。
 考えられるのは現時点ではまず、圭一の両親だろうか。何故なら「時計」に思い当たる可能性があるのは彼等くらいだろうから。そうだとすると針が実在していたという可能性も出て来ますが。
 次に考えられるのは第一発見者である大石さんか。そうなると彼があれらを隠蔽する理由がなんなのかという事になる。圧力のかかっていた警察という組織はあてにならないと判断して単独で捜査すべきと考えたという事が可能性のひとつとして挙げられるかもしれませんが。なんとも。

 いずれにしても犯人は圭一のメモから削除された「最初の犠牲者が生きている」という内容と、注射器の中身の存在が知られるのはよしとせず、メモの残った部分は敢えて残しておくメリットがあったか、そうせざるを得ないなんらかの理由があったのではないかと現在推測している。

 ■結局怪現象の正体は?
 圭一の幻覚、だとすると辻褄は合うんですが。裏付けはない。
 そういや彼は雛見沢に来てから山菜にはまった、みたいな事言ってましたが……そんで薬物の線を疑って山菜と良く間違えられる毒草の類を調べてみた事はあります。どうやら実際富竹さんや終盤の圭一に似た症状を引き起こしそうな物はあるみたいなんですけどね。ハシリドコロってやつなんですが。ただ薬物反応が出なかったと言う話が。むぅ。
 上の方で述べた注射器に入っていた物がむしろ薬物を中和してしまって検出できなくする物だとしたら……などとも考えましたがそんな事可能なんだろうか? 調査不足なんでわかりません。
 仮にそうだとすると、富竹さんは死亡する少し前に注射されたので薬物が検出されず、圭一も電話ボックスで発見された時はかろうじて生きていたので、グルであると思われる駐在さんが……という事で筋は通るかもしれませんが……あ、それだと注射痕の問題が。むぅ。

 お疲れ会では祟り説と人間が犯人説にキッチリ分かれてたみたいですが、そういう事言われると私はひねくれもんなのでどっちでもないような気がしてしまうなあ。
 例えばなんらかの超常現象が働いているがそれは祟りのようなオカルト方面の物ではなくてむしろSF方面のものだったりとか。

 或いは超常現象などではなく歴とした自然現象だが、それを理解している人が少ない為に人知の及ばぬ現象であるかのように見えてしまうとか。それだけだとあのような事件に発展する可能性は低いかもしれませんが、複数の現象が幾重にも絡み合えば或いは。
 更に、難解な現象を理解できるだけの知識を持つ人達が少ない場であるというお膳立てまで整っていたとしたら。序盤で圭一と雛見沢の生徒との学力の差が示されていた点も、実は高度な知識を持たない住民達による閉鎖的な空間ならではの出来事であったという事の伏線だったとも。

 まあ、現時点では全部妄想でしかありません。

2025年11月18日火曜日

雑記過去ログ(5)


Remember11 03/9/24

 【情報元:カトゆー家断絶さん
 infinityシリーズの最新作が登場するとか。正式なタイトルは「Remember11 ~ The Age Of Infinity」で2004年発売予定。絵師さんは左さんという方。それとMOON PHASEさんにて記事のキャプ画像が公開されてます。そして一瞬誰なのかと思った槻潮鋼氏=打越鋼太郎氏だそうです。
 クリアした瞬間絶対考察・データベースサイトを作ろうと思うほどに衝撃を受けたEver17のトリックを上回る事ができるかどうか。困難な事だろうとは思いますが期待しております。
 今回も細かいツッコミどころがあったとしてもとそれをひっくり返す長所があれば個人的にOK。infinityシリーズは減点法じゃなく加点法で評価すべき作品だと思いますから。

 ちなみに今回「優冬」は登場するのかと思って探してみたんですが……なるほどそうくるわけか。1作目がそのまま「優夏」、2作目は本名を省略して「優春」、「優秋」、で3作目ではふたりに分かれてると。全部違うパターンなわけですね。……まぐろは登場するのだろうか。舞台は雪山ですが。

 その他何か思ったことがあったらまた雑記で書きます。あ、それとこのサイトでもRemember11の考察・データベース作成はやる予定です。結果論ですがEver17研究室じゃなくてinfinity研究室というサイト名にしておいて良かった(笑)



Remember11への伏線? 03/9/26

 新作Remember11についてまだ知らないという人はコチラとか、MOON PHASEさん(9/24)にある雑誌記事のキャプ画像等を参照してください。

 で、今回何の話かと言うとEver17本編中にあった、これは次回作への伏線だったんじゃないの? などと思った要素について。
 まず真っ先に思いついたのはIBFの、何故か蓋が開きっぱなしだったポッド。物語の構成上、あそこで故障したポッドがひとつ存在する必要性って特にない気がするんですよね。本編の別の何かに絡んでいる可能性もありますが……とりあえず思い当たらないので。
 次につぐみがライプリヒに監禁されてた頃に知り合った少年。結局何者かわかりませんでした。まあ彼に関してはライプリヒがいかに非道な組織であるかを描く為だけに用意されたキャラクターだったという可能性もありますが。でも実は生きていて、infinityシリーズの世界観に深く関わるキャラで、そしてRemember11の登場キャラの中に混じっていたりしたら面白いかな、などと思ったり。
 あ、モリノ博士がまた関わってくるのかどうかも気になりますね。前にも書きましたがEver17のストーリーに彼を絡ませたのには何がしかの意味がありそうな気がするんですよね。

 あと、Ever17でもNever7でもそれぞれの「キュレイ」に関する問題というか、謎は解決していないんですよね。これらに関するもっと突っ込んだ解説はあるんだろうか。或いは第3のキュレイなんかが登場したりするんだろうか。その辺も気になるところ。



Remember11についてあれこれ 03/9/28

 まずタイトル画像を見て思った事。Never7はメビウスの輪、Ever17にはDNAの2重螺旋がバックに描かれていた。これらは物語のテーマを象徴していたと言えると思うんですが、じゃあ今回のみっつのリング(こういう図形に名前があるのかもしれないけど私は知らない)は何を意味するのか気になるところ。
 で、ストーリーなんですが。Ever17の時も前作であるNever7と同種の現象(無限ループ)が発生しているのではないかとプレイヤーに思い込ませるような部分があったわけですが、今回も同様のことをやってそうな気がしなくもない、などと思ったり。
 つまりこころ達以外のキャラが登場するのは別の舞台である事とか、未来予知に対する未来の新聞だとか。Ever17の舞台と似た状況にあると解釈できる余地がある。けど、それはEver17をプレイ済みの人を騙す為の要素なんじゃないかなーと。じゃあ実際にはどんな現象が起きているのかというと、現時点ではまったくわからんのですが。他にも色々書きたい事はあるけど今回はこのへんで。



電撃PS(Vol.251)のRemember 11記事雑感 03/9/30

 遅れ馳せながら電撃PS買って来ました。まずは主人公であるふたりについて。
 個人的に注目しているポイントは、なるべくプレイヤーにシンクロさせ易いようあまり濃い性格にはせず、細かいパーソナルデータも設定しない。顔のグラフィックも用意しない。そんなKID作品の主人公に関する原則からEver17以上にかけ離れている点だろうか。
 Ever17では顔のグラフィックが用意されているという時点でこの原則からは逸脱していた。しかし他にブリックヴィンケルという真の主人公とでも呼べる存在が隠されていて、コチラの方が前述のセオリー通りではあったわけですが。ならば、Remember11でも……? 主人公ふたり合わせて「優冬」なのも気になる。「優〇」というキャラはこれまでの2作品ではいずれも重要な位置にはいるけど主人公ではありませんでしたから。しかし、「隠し主人公が存在する」では前作の繰り返しになるので当たってるかどうかは微妙ですね。
 ちなみに上でEver17以上、と述べたのは顔が公開されている点のみならず、性格付けがしっかりされており、パーソナルデータもかなり細かく設定されている為。特にKID主人公の原則には「主人公の知識量をプレイヤーにあわせる」という物もあったと思いますが、この点において天才である悟は逸脱してますな。
 ここにきて初めて従来の原則を無視する形になるのか、はたまたこの辺りに関する何らかの仕掛けが用意されているのか。

 それにしても主人公のふたりのデータは比較してみると面白いですね。
 かたや女性・B型・カンを信じる・方便としてのウソは容認・面倒くさがり・文系。
 かたや男性・A型・論理的に思考するタイプ・ウソが嫌い・行動力あり・理系。
 何もかもが正反対。本編ではもっと細かい部分でも違いが見られるかもしれないですね。それでいて誕生日はふたりとも2/22、同じ「鳩鳴館」に属し(通っている校舎は違ってそうだけど)、繰り返しになるけどふたり合わせて「優冬」。これまた本編ではふたりに共通する特徴がまだ他にも見られるかも、などと思ったり。
 正反対の存在ではあるが、同一のカテゴリに属している。なんか個人的に「太極図」のようなイメージを抱いた。

 さて、同一の事件に全く異なる思考回路を持つ主人公が取り組み、あるひとつの事柄の別の側面を見出していく事によってストーリーが進んでいくのか……と思いきや。悟の方は雪山で遭難したわけではないようですね。人工的な閉鎖空間? どんな状況だろう。Ever17に近いのかな?
 まあともかく、舞台となる場所が違う為に同一の事象に対してふたりが異なるリアクションを返す、という構図はなさそうだけど、なんらかのカタチで両者の性格の違いを活かした面白い演出を個人的に期待してます。
 あ、そういや目指す所が大自然の閉鎖空間からの脱出と人工的な閉鎖空間からの脱出。こんな所でも両者の違いが。



電撃PS(Vol.251)のRemember 11記事雑感(2) 03/10/2

 「ワタシを殺す 記憶の迷路」。

 石原誠の一人称は「オレ」。Ever17キャラ呼称表でも書いた通りブリックヴィンケルは「ボク」。これまでの作品において主人公の一人称はカタカナ表記されている。特に誠に関してはオフィシャルサイトの設定資料にてわざわざ「カタカナ注意」とまで強調されているくらい。
 となると、最初に取り上げた言葉はRemember11における「主人公」の言葉である可能性が高いという事になりそう。「オレ」→「ボク」ときたから今度は「ワタシ」なわけですな。
 こころや悟の一人称が果たして「ワタシ」なのかどうか。或いは他にそうであるか、「ワタシ」でなくとも一人称がカタカナ表記であるキャラがいるのかどうかは要チェックだと思う。
 ちなみにカタカナ表記の場合「オレ」や「ボク」に比べて「ワタシ」という一人称はちょっと違和感があるというか、目立ちますね。ひらがな表記や漢字表記ならそうでもないと思いますが。

 ところで話は変わりますが「こころ」と「悟」って「心を悟る」にちなんだネーミングなのかね? たまたまなのか意図してのものかはわかりませんが、後者であるならばこの事と「記憶」という要素を絡めて考えるとなにやら面白そう。



R11キャラ情報雑感:ワタシ 03/10/4

 前回雑記でとりあげた「ワタシを殺す 記憶の迷路」。ここにあるワタシは誰かについて。
 今回の更新で公開されたキャラ情報をざっと見てみる。こころは「私」、悟は不明、黛は「私」(「好き」の項目によればその可能性が高い)、黄泉木は「僕」、カーリーは「私」、穂鳥は不明、ゆには「ぼく」。一人称が「ワタシ」であるキャラは存在しなかった。それどころかカタカナ表記であるキャラさえ居ない。悟は口調からして「私」或いは「ワタシ」である可能性も考えられるが……。うーん、もしかしたらこの7人の中には該当者がいないのだろうか?



R11キャラ情報雑感:元型 03/10/4

 今回登場した「元型」という項目も気になる。辞書を引くなり検索するなりしたらすぐにわかると思うけど、これは心理学用語。特に個人の無意識よりも更に深い領域、全人類共通の無意識に関わる物らしい。
 これには様々な種類があり、どうも登場人物にそれぞれ当てはめられそうな雰囲気なのだが……特にこころと悟。ふたりはアニマとアニムスがあてはまりそうである。これは前者が男性の中の女性的側面、後者がその逆で女性の中の男性的側面。こころがアニマで悟がアニムスかな?
 カーリーはまんまグレートマザー、黄泉木はオールドワイズマンだろうか。このふたりはわかりやすいんだけど、黛と穂鳥はペルソナ・シャドウのどちらを当てはめたら良いのかよくわからん。
 ちなみにゆにを除いて誕生日が同一である組が必ず出来ている。その組の元型は正反対のモノになっているように思える。わかりやすい例が上でも挙げたこころ(アニマ)と悟(アニムス)でしょうな。
 なお、対となるキャラのいないゆには全ての元型の統合体ともいえる「自己」が当てはまりそう。名前がゆに(Uni=単一)なのはここに由来しているかも。
 あ。ひょっとしてタイトル画像のバックにあるみっつのリングって、誕生日が同一で対極に位置する者同士のペアをひとつのリングとし、ゆに以外の3組を象徴していたとも考えられる……かな?

 さて、色々書きたい事はあるんですがここはひとまずこころと悟の話に戻ります。ふたりは正反対でありながら同じ所に属し、まるで太極図のようだと以前雑記で書いたと思いますが、今回の元型の件を絡めて考えるにますますそう思えてきました。
 ちなみに男性は自己の中のアニマ、女性はアニムスを、成長するにあたり排除しようとするが、中年期にさしかかると逆に統合していく傾向にあるという。
 さらにゆに。全ての元型の統合体が当てはまりそうなキャラ。そして彼のセリフに以下のようなモノがある。

 「ぼく、素数が好きなんだ。
 因数を2つだけしか持たないから。
 1つでも3つ以上でもなく……2つ……」


 意味深です。ふたつ。2。こころと悟? そういえばこのふたりの誕生日だけは2が連なる特徴的なものだった。更に言うとこのふたりとゆにの立ち絵、偶然かもしれませんがポーズが非常に似通っている。なんか気になる。まあ、ポーズだけだったら穂鳥も似ていますが……。
 とにかく「こころ」と「悟」が統合されて単一になった結果が「ゆに」、などという構図を考えてみたり。いや、人間が融合するのかとかそういう意味じゃなくて、あくまで象徴的な事で。
 或いは誕生日に2ばっかりってのを無視して、「ふたつ」を「誕生日が同じであるふたり」と解釈すると、そのようなふたりが3組おり、彼等がタイトル画像の重なり合うみっつのリングが象徴しているように統合され……これまた6人=むっつの元型の統合体がゆに、という構図などもできそうな。
 ちなみにこの辺りの統合うんたらは曲解通り越して妄想じみているという事はわかってて書いてます(汗)

 あとは、ゆに(Uni=単一)が好きだという素数に彼自身を象徴していそうな「1」は含まれないというのも面白い話だなと思ったり。



R11キャラ情報雑感:予知の少年 03/10/5

 今回のゆにのパーソナルデータを見て、Ever17をプレイ済みの人の大半はあっと思った筈。ライプリヒが嫌いで、予知めいた事ができるらしい。しかも少年。もしやつぐみがライプリヒの研究施設に監禁されていた頃の回想に登場した少年ではないか。今回はその辺について。
 というかあからさまに目立つ情報だったので真っ先にそれについて考察するべきだろー、お前雑記でかの少年は続編への伏線じゃないかと推測してたろー、といった声も聞こえてきそうですがスミマセン、雑記の大量更新は時間的に無理でした。丁度今、月姫研究室の方も一杯一杯で……。

 さて、唯一公開されているゆにのセリフから察するに、口調も件の少年とそう大きな違いはないように思える。そして一人称も「ぼく」と共通している。
 しかし気になるのがつぐみの回想は2005年であり、Remember11の舞台は2011年であるという事。ゆに=少年なら、年齢が合わない。
 けれど件の研究施設はキュレイに関して研究しているであろう事は明かである。ならばあの少年もキュレイだった可能性はあり、年齢の食い違いの問題は解消できるかもしれない。つまり、2011年の時点で既にゆに=少年は見た目以上の年齢であると。パーソナルデータには「11歳」と明記されてますが、Ever17をプレイした人ならこれが絶対的に正しい情報であるとは限らないという事はおわかりだと思う(笑)
 キュレイ感染者の細胞の大半が入れ替わるまでには5年ほどかかるので、その間ある程度成長・老化はするようですが、これも2005年の時点で既に細胞の入れ替わりは完了済みだったとすれば辻褄はあう。
 実際つぐみの回想に登場したライプリヒの研究者の言葉からもわかる通り、当時既にキュレイ感染者が世界に十数人ほど存在している事をライプリヒは知っていたらしい。そしてつぐみは珍しく全身の細胞が入れ替わる可能性があると予見していた。という事はライプリヒは「キュレイ感染者」ではなく「キュレイ種(ここではつぐみのように全身の細胞が入れ替わらなかった者も含む事にします)」のデータを持っていた、つまり当時既に「キュレイ種」が存在していたという事になるんじゃないかと思う。
 よって2005年よりも以前に感染し、既にキュレイ種と化していた人物が存在していてもおかしくはないかもしれない。
 まあ、ここまでに書いた事はどれも辻褄が合いそうだというだけであんまり裏付けはありませんけれども。

 ちなみに彼の嫌いな物に「唯物論」がありますが、何度も述べているように唯心論的な世界観を持つinfinityシリーズにおいてこの点は興味深いと思う。
 更に言うなら彼がキュレイ種と化していると仮定すると、唯物論的に考えた場合には人間だった頃の細胞を失った事で、ある意味死んだとも言える為に唯心論的な考え方を拠り所にしているのだとも考えられるかも?
 ところでゆに=少年だとすると、雪山で唯一生き残ったのは予知によって危険を回避したから、ではなくて人間よりも生命力の高いキュレイ種であるから、という可能性も考えられるかも、などとも思った。



R11キャラ情報雑感:心を悟る(1) 03/10/8

 以前雑記で主人公ふたりの名前は「心を悟る」に由来するのだろうかなどと書きましたが、元型という要素が関わってくる事が明らかになり、案外的外れな予想というわけでもなかったと言えるのかもしれない。
 そういえばEver17でもピグマリオン効果なんてのがありましたっけ。そもそもinfinityシリーズの世界観の特徴を考えると心理学的な要素が深く関わってきてもなんら不思議はないわけですが。

 さて、「心を悟る」。まあいくらなんでもテレパシーなんてものが登場するとは考え難いですが。要するにこの作品が精神の働きという物に深くかかわる内容であり、物語の進行とともに「元型」という物を追求していく事になるから主人公の名前がこのようになったという事なのかも。
 そうだとすると穂鳥が「境界例」の傾向有り、という事も重要な要素になるかもしれない。これは精神面の症状の一種らしいので。ちなみに精神病と神経症の丁度中間的な領域に当たる症状を指していたことに由来して「境界」例と名付けられたらしい。

 そして「ワタシを殺す 記憶の迷路」。「ワタシ」に関しては以前雑記でも色々と考えてみましたが、今回は後半の「記憶の迷路」について。
 まず元型というのは全人類に共通する普遍的無意識を形成する要素らしいんですが、そもそもコレがどうやって形成されたのかというと、やはり「記憶」が関わってくるんじゃないかと。では全人類に共通する記憶とは何か。それは人類が人類として生きていくが故に共通して必然的に経験する事になる(なった)事柄ではないだろうか。元型に関して解説しているサイトさんでもそのような事を述べている所は結構見られました。
 結論として、「記憶の迷路」とは複数の「元型」同士が絡み合う事によって形成される、精神世界の複雑な迷路なんじゃないかな、などと思った。

 あ、それから「元型」に関しては私も調べている途中ですので、もしどこか間違った解釈などがあったらスミマセン。



R11キャラ情報雑感:心を悟る(2) 03/10/9

 そもそも元型という概念を提唱したのはかの有名なユングですが、彼はこの研究の為に世界中の文化、神話等を調べたのだとか。なんでもこれらには遠く隔てた地で誕生したモノ同士であってもある種の共通する法則性が見られ、その原因として全人類共通の無意識の存在を考えたらしい。
 となると気になってくるのがこころが人文学科、しかも人間学講座に所属しているという点。人文学ってのは人類が創造した文化に関して研究する物ですよね。よく私はinfinityシリーズの世界観に関して唯心論的、唯心論的と言ってると思いますが、この唯心論が含まれる「哲学」もカテゴリとしては人文学に含まれる。

 一方悟は量子物理学を研究している。これだとあまりピンと来ない人も居るかもしれませんが、「シュレディンガーの猫」という単語になら思い当たる節があるという人は結構いるのでは。
 私もこの分野に関しては自力で調べた程度の知識しかないのですが、少なくとも観測者が観測する事によって対象が存在しうるという、ひいては存在、現実とかいったモノは観測者の心の中にのみ在るモノだというinfinityシリーズの世界観(少なくともそうじゃないかと私は推測している)に深く関わる物だと言えるのは確かじゃないかと思う。
 ちなみにEver17のOPに登場したThe Many-World Interpretation(多世界解釈)もこの分野に関連するもの。OPに登場したテキストはここにまとめてありますので参考までに。

 つまりこころは人文学の方面から、悟は量子物理学の方面から、人の心・精神といったモノ、ひいてはそれらが作り上げる世界だとか現実だとかいうモノの(infinity世界における)実態に迫っていく事になるんじゃないかなあと思ったのでした。